Friday, February 08, 2008

2年生のプロジェクトその1:日本語の表記と文字使い

1月31日に2年生のクラスで目玉(?)プロジェクト「クリティカル・リテラシー活動」の第1弾として,日本語の表記と文字使いについて話し合いました。師匠であり共同研究者のYuriさんと相談した上で,Yuriさんが3年生のクラスで実施したミニリサーチプロジェクトを実施し,学生にひらがな,カタカナ,漢字,ローマ字,英語が使われている例を集めるように言い,31日にそれをクラスに持ち寄って話し合いました。

まず,3人ずつのグループに分かれて例を分類し,それぞれの文字がどんな使われ方をしているのかを話し合ってもらいました。学生はそりゃもうたくさん持ってきてくれました。まず近所の日系スーパーで買った食べ物のパッケージ,日本のバンドのCD歌詞カードブック,雑誌,漫画,インターネットで見つけた看板の写真などなど...。その中で,学生がつい最近勉強した課「日本語の表記」のテキストに書いてあったルールと違うものがいくつかありました。
  • 大スキ(広末涼子の曲名)
  • オトコの行間(雑誌から)
  • ないッ(漫画の台詞)
グループディスカッションの後,各グループで分類した例を発表してもらいました。1つのグループはポスターの裏にマジックで見つけた例を書いてそれを黒板にはり,「XXを○○で見つけました。こうこうこういう効果があると思います」といった感じでひとつずつ丁寧に発表しました。もう1つのグループは分類ごと(音楽,食べ物,広告など)に実例を見せながら発表しました。

ここで残り時間が15分。うーん,時間が足りない...と思いつつも,話し合いのメイン材料として用意していた鹿島建設の広告を見せました。この広告は新聞に掲載されていたもので,「ミライヲキリヒラケ」「NEED KAJIMA」というキャッチコピーが印刷されています。本当はグループでこの広告の表記/文字使いを分析してほしかったのですが,いかんせん時間がなく,私がクラス全体に「どんな文字が使われているか」「何の広告だと思うか」を聞き,カタカナで書かれたコピーは実は漢字かなまじりで書けるということを言いました。そして,カタカナで書いてあったらどう見えるかを聞いたところ,「かっこいい」「モダン」という意見が出ました。

学生が集めたさまざまな表記/文字使いの例,そして鹿島建設の広告を分析することで,教科書に書いてあった「表記のルール」からはずれた使い方(外来語でないのにカタカナで書かれている,日本語話者が読む(と思われる)新聞広告にデカデカと英語のコピーがある,など)があるということ,つまり日本語学習者として学生が習ったルール通りではないものもある,教科書はすべてではないということに気づき,それを話し合ってほしいと思って,この活動をしました。しかし,採集例の分類と発表に時間をとり,話し合いがあまりできないまま,消化不良やったんとちゃうやろかと思って落ち込みました。もっとうまくタスクを設定してたらなあ...と。

学生が何を思ったか知りたくて,ブログに考えたこと,わかったこと,何でもいいから書いてもらいました。その締め切りが今日だったのですが,うーん,すごい!消化不良だと思っていたのは私だけでした。学生はいろいろ感じ取り,鋭い分析をしています。そしてこの活動の中で気づきがあったようです。例えば「ルールとは異なる文字使いはかっこよく見えて,人の目をひく」「カタカナの多用は西洋の影響」「ローマ字で書いてあったら,日本語の文字が読めない人でも読めるから,売れる」とか。「正しい」「正しくない」という切り口で意見を書いている学生もいて,規範への意識があるのだということもわかりました。2年生のブログの名前は「日本語ノススメ」というのですが,このカタカナ部分に気づいた学生もいて,驚きました。名付け親の私は特に考えもせず,福沢諭吉の「学問ノススメ」をもじっただけなんですけどね。

1年生の気づきといい,2年生も負けてません。私のほうが勉強になりました。学生とともに成長していきたいです。

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