始まりは、私が「今学期の最後に何がしたい?」と授業のアイデアを募集したところ、ある学生が「漫画が読みたい」と言ったことでした。その学生は『絶対彼氏』などいくつか読む作品をあげていたのですが、全部連載ものだったのでいい読み切りを探していました。そんなとき、オースティン先生の発表で『ダーリンは外国人』(小栗左多里著)を使ったクリティカル・リテラシーに基づく活動を学びました。好きな食べ物をもらったらすぐ食べる犬みたいな(?)私は、「こりゃあいいや」と飛びつきました。そして帰国後、「漫画を読む」という授業で『ダーリンは外国人』の「お引っ越しの落とし穴」を使い、オースティン先生の活動をやってみました。ちなみに「お引っ越しの落とし穴」は、外国人である「ダーリン」と一緒に住むアパートを探している作者(日本人)が、不動産屋に「外国人はだめ。漫画家もだめ」と差別され、住むところを見つけるのに苦労したという内容です。
内容を確認した後、学生に予習として
- どんな人がこの漫画を読むか
- この漫画のテーマは何か
- 作者が使っている絵やことば、他の要素はこのテーマをどうやって伝えているか
- この漫画にはどんな文化的な情報が含まれているか
- この漫画の作者だたら、テーマをわかりやすくするために他にどんな情報を加えるか
- 自分が同じような漫画を書くとしたら、どんなふうに描くか
いやー、学生は鋭いです。例えば3については...
- 登場人物の表情(悲しい表情)と横に書いてある説明(擬態語のことか?)
- 外国人のダーリンのせりふは長くて難しい言葉を使っているし、正しい日本語だが、日本人である作者のせりふはそれに比べるとそうでもない
- (授業では出なかったけれども予習シートにあった回答として)大きいフォント/手書きの字で作者の気持ちを表している
他にも面白い意見として、「落ち込む作者にダーリンがコーヒーを急いで持って来ているコマがある。これは「外国人はうるさいし、家賃を踏み倒す」といったような悪いイメージに反対するために、「気配りができるいい人」というイメージを出しているのでは」というのがありました(ただ、これはダーリンが作者のパートナーということで、好きな人にやさしくしているだけかも...という感もありますが)。
ここで時間をとったため、4以降の質問についてあまり話すことができなかったのが残念です。学生が予習シートに書いた答えを読むと、「日本での部屋探しに必要なこと(保証人など)」「日本人の外国人のイメージ」「日本にはまだ差別がある」などがあがっていました。
この漫画を上手く料理できただろうか... いつも思うんですが、学生が言う意見をその場できちっと受け止めてどう学生に返していけばいいのか、非常に難しいです。でも、思った以上に活発な話し合いができたので、これからもこういう実践をしていきたいと思います。
3 comments:
これ、前から取り上げたらおもしろいんじゃないかなと思っていました。日本に住んでいる学生とそうじゃない学生でどういう話し合いの違いが出るかもおもしろいですねー。
すごいおもしろそうな活動です~!
でも、すみません、わたしyukkiさんの
「好きな食べ物をもらったらすぐ食べる犬みたいな」・・・のくだりで笑っちゃいました。
わたしもそれ~~~!
>さとうさん
関連本がいろいろ出ていて、面白いですよ。ぜひ使ってみてください。日本にいる、いないで学生の意見って違うかな〜。
>ちぇぶさん
活動内容より「犬」発言でウケましたか。それはなにより。
Post a Comment