Tuesday, February 26, 2008

海の名前

二年生の教科書の第3課、トピックは『日本の地理』。新出文法をひと通りカバーし、今日から読み物を読み始めました。最初の段落には日本の位置や地形についての情報があり、私が内容質問として「日本は海に囲まれていますがその名前は?」と、学生にききました。Yさんが読み物に書いてある通りに「日本海と太平洋」と答えたのですが、そこですかさずCさんが「先生、でも韓国では違います。東海と呼ばれています」と言いました。Cさんは韓国系の学生で日韓の領土問題について言っていたわけですが、私が他の学生に「知ってる?」と聞いたら「知らない」というので、Cさんに英語で説明してもらいました。日本が「日本海」と呼んでいる海域は韓国では、「東海」と呼ばれており、韓国政府は海産資源(C さんは "Squids or something like that"と言いました(笑))確保のために独島を韓国領土としたく、現在韓国領だと宣言した韓国人二人が独島に住んでいることなどを話してくれました。すると、Pさんが「確か、ロシアとアメリカもシベリアの氷河の所有権をめぐって、同じような争いをしていると思う」と教えてくれました。「ロシアとアメリカは石油、日本と韓国はイカをめぐって争ってるんかいな」という話で終わりそうになったのですが、そこでふと「じゃ、このテキストは誰が書いたんでしょうね」と問いかけてみました。すると、Cさんが「絶対、日本人が書きました」と言いました。「韓国人の視点だったら、「東海」と書いてあります」と。

本当にちょっとしたことなんですが、教師が強制したんじゃない学生の自主的な発言から出てきたクリティカル・リテラシーの一瞬でした。他の学生がどう受け止めたかはわかりませんが、少なくとも一人は「誰がこのテキストを書いたのか」ということについて敏感に反応してくれたことがうれしかったです。こういう一瞬をつかんで逃さない教師になりたいなあ。

Sunday, February 17, 2008

げっそり <丶´Д`>

ここ最近、週末になると何か書いてます...。先々週は確か4月の学会発表の原稿、先週は論文の直しと学会に提出する要旨、そして今週は今仏様やYuriさんとやっているプロジェクトの論文の下書き...。大学という研究の場にいる以上、これが仕事なのはわかっているんですが、頭脳作業はやっぱりつらい...。最近、特に集中力が落ちてきていて、しかも考えがうまくまとめられなくなって苦労しております。やっぱり年のせい?あ、でも仏様もYuriさんも私より年上ですが、切れ者です。

あー、やっぱり私の修行不足なわけですね。

Wednesday, February 13, 2008

学生の名(迷?)言

今日、1年生のクラスで「(名詞)の前に」という文法を導入ました。その練習で、つまらないんですが後件を与えて、前件を考えるというのをしていまして、例として「____、トイレへ行きます」というのをあげたところ、「クラスの前に」という答えが出ました。すると、ある学生が、「それって、"before"の場合と"in front of"の場合と、両方考えられる?」と。私、一瞬止まって、「は?」...。他の学生が、「それやったら、「クラスの前」やろ〜」と答えてくれたのですが、私、耐えられず笑ってしまいました。本当はいけないんだと思います。でも想像してしまったのです...学生がクラスメートが見守る中、トイレを「する」ところを!思わずその場に座り込んで、くっくと笑ってしまいました。クラス全体で笑い、楽しい(?)授業でした。

その後の夜の2年生のクラスでも面白い発言がありました。「日本の行事」という課をやっていて、今日はいろいろな行事の説明のビデオを見ました。その中に「なまはげ」があったのですが、見終わってから学生が「どうやってうちに入ってくるん?」と聞いたので、「多分、うちのドアが開いてるんちゃう?」と答えると、「それって、強盗するにはちょうどええやん」と言いました。誰だかわかんない格好してるし、ドアは開けっ放し(?)やし、こりゃ絶好の機会だと。そうか、そういうふうに考えるのかと思いました。他の先生にこの話をしたら、「そんなん、なまはげやるとこは、安全でしょ」と言われましたが、いやいや、日本だって危ないですよ〜。

Sunday, February 10, 2008

至福の時。

Bryant Parkの西側に新しく紀伊国屋がオープンしてしばらくたちますが,今日初めて行ってきました。Times Square/42丁目の駅から数ブロックと,とても便利なところにあります。

地下1階には文庫本や学習参考書などの書籍と文房具類,1階には雑誌などが置かれています。その他にもコスプレ用?の服やアニメ/漫画のキャラクターTシャツなどもありました。うーん,充実した品揃え。ちょっと人に会うために行ったのですが,待ち合わせ時間よりも早く着いたので,最近ハマっている関ジャニ8とかKagrra,の雑誌記事が読めて幸せでした〜(渋谷すばるの髪が短くなっててびっくり)。

2階は漫画売り場で,あとはカフェ・ザイヤも入っています。漫画売り場にはゴスロリの衣装(あれは「衣装」というにふさわしいと思います)を着た若者や,きっと「オタク」に分類されるであろう若者の姿が。私も漫画好きなんで,ここにたむろする彼らの気持ちがよーっくわかります。

これで漫画の立ち読みができたら言うことなしです。ま,日本にある本屋でもそれは無理なんで,立ち読みにはブックオフに行くことにします。...って,行ったんですけどね(汗)。2時間も立ち読みしてしまった(滝汗)。何を読んでたかって?『ごくせん』でしょ,『有閑倶楽部』でしょ,『高校デビュー』でしょ...って,全部シリーズもんです。そりゃ時間かかりますよね...。

Friday, February 08, 2008

2年生のプロジェクトその1:日本語の表記と文字使い

1月31日に2年生のクラスで目玉(?)プロジェクト「クリティカル・リテラシー活動」の第1弾として,日本語の表記と文字使いについて話し合いました。師匠であり共同研究者のYuriさんと相談した上で,Yuriさんが3年生のクラスで実施したミニリサーチプロジェクトを実施し,学生にひらがな,カタカナ,漢字,ローマ字,英語が使われている例を集めるように言い,31日にそれをクラスに持ち寄って話し合いました。

まず,3人ずつのグループに分かれて例を分類し,それぞれの文字がどんな使われ方をしているのかを話し合ってもらいました。学生はそりゃもうたくさん持ってきてくれました。まず近所の日系スーパーで買った食べ物のパッケージ,日本のバンドのCD歌詞カードブック,雑誌,漫画,インターネットで見つけた看板の写真などなど...。その中で,学生がつい最近勉強した課「日本語の表記」のテキストに書いてあったルールと違うものがいくつかありました。
  • 大スキ(広末涼子の曲名)
  • オトコの行間(雑誌から)
  • ないッ(漫画の台詞)
グループディスカッションの後,各グループで分類した例を発表してもらいました。1つのグループはポスターの裏にマジックで見つけた例を書いてそれを黒板にはり,「XXを○○で見つけました。こうこうこういう効果があると思います」といった感じでひとつずつ丁寧に発表しました。もう1つのグループは分類ごと(音楽,食べ物,広告など)に実例を見せながら発表しました。

ここで残り時間が15分。うーん,時間が足りない...と思いつつも,話し合いのメイン材料として用意していた鹿島建設の広告を見せました。この広告は新聞に掲載されていたもので,「ミライヲキリヒラケ」「NEED KAJIMA」というキャッチコピーが印刷されています。本当はグループでこの広告の表記/文字使いを分析してほしかったのですが,いかんせん時間がなく,私がクラス全体に「どんな文字が使われているか」「何の広告だと思うか」を聞き,カタカナで書かれたコピーは実は漢字かなまじりで書けるということを言いました。そして,カタカナで書いてあったらどう見えるかを聞いたところ,「かっこいい」「モダン」という意見が出ました。

学生が集めたさまざまな表記/文字使いの例,そして鹿島建設の広告を分析することで,教科書に書いてあった「表記のルール」からはずれた使い方(外来語でないのにカタカナで書かれている,日本語話者が読む(と思われる)新聞広告にデカデカと英語のコピーがある,など)があるということ,つまり日本語学習者として学生が習ったルール通りではないものもある,教科書はすべてではないということに気づき,それを話し合ってほしいと思って,この活動をしました。しかし,採集例の分類と発表に時間をとり,話し合いがあまりできないまま,消化不良やったんとちゃうやろかと思って落ち込みました。もっとうまくタスクを設定してたらなあ...と。

学生が何を思ったか知りたくて,ブログに考えたこと,わかったこと,何でもいいから書いてもらいました。その締め切りが今日だったのですが,うーん,すごい!消化不良だと思っていたのは私だけでした。学生はいろいろ感じ取り,鋭い分析をしています。そしてこの活動の中で気づきがあったようです。例えば「ルールとは異なる文字使いはかっこよく見えて,人の目をひく」「カタカナの多用は西洋の影響」「ローマ字で書いてあったら,日本語の文字が読めない人でも読めるから,売れる」とか。「正しい」「正しくない」という切り口で意見を書いている学生もいて,規範への意識があるのだということもわかりました。2年生のブログの名前は「日本語ノススメ」というのですが,このカタカナ部分に気づいた学生もいて,驚きました。名付け親の私は特に考えもせず,福沢諭吉の「学問ノススメ」をもじっただけなんですけどね。

1年生の気づきといい,2年生も負けてません。私のほうが勉強になりました。学生とともに成長していきたいです。

Wednesday, February 06, 2008

イケメン

1年生のクラスで3種類の「あつい」(「暑い」「熱い」「厚い」)の話をしていたところ,Dさんが「"She's hot"って「彼女は熱い」って言えるん?」と聞いてきました。私は,「うーん、言われへんけど,男の人の場合には「イケメン」って言うなあ」と,黒板に「イケメン」とカタカナで書きました。すると,Eさんが「それはどの言葉から作られたの?(実際は「日本語?英語?外国語?」とか言ったと思います)と聞いたので,「イケ」は「行く」の可能形+ている「行けてる」で,「メン」は「Men」じゃないんかな〜と答えました(正しくは「面」ですが,その時は知りませんでした(汗))。そのあとすぐにHさんが,「なんでカタカナで書くの?」と聞きました。そこで間髪入れず「どの言葉から?」と聞いたEさんが,「「カラオケ」とか日本語と他の言語を混ぜて言葉を作る場合,カタカナで書くんだよ〜。ひらがなで書くのは日本語だけの言葉じゃない?日本語は「犯され」たくないんだよ〜」と答えました。で,ここでMさんが「じゃ,「消しゴム」は?あれ,ミックスやん...」と。みんなうなっていて「先生、教えて〜」という感じだったので,「よくわからへんけど...「消しゴム」って長い間,使われてるからとか?でもわからへん」と、苦しい説明をして,その場をしのぎました。

学生ってすごいなあと思いました。私はものすごく軽い(?)気持ちで「イケメン」って言っただけなのに,そこからこういう話になるんです!2年生でクリティカルリテラシー活動の一環として,日本語の表記/文字使いの規範についてミニリサーチプロジェクトをしたところだったので,よけいに感動しました。こういう学生の気づきを敏感に取り上げていきたいと思います。...でも,「ブログのトピックにしたら?」と言ってくれた仏様には「うーん」とちょっとためらいを見せてしまいました...。修行が足りない私です。

Sunday, February 03, 2008

日本にハマる学生たち

最近、2年生の学生とよく日本のドラマやアニメ・漫画、アイドルの話をします。お互い、好きなものが似てるんですよね〜。それにしても学生はよく知っている!今学期の個人目標に「のだめカンタービレの新春スペシャルを字幕なしで見る」と設定した学生がいて、「先月やったばっかりやん!」って思いました。他にもここ1年で放映されたドラマなんか当然のごとく見てるし、すごいなあと思います。

それもこれもインターネットのおかげなんですよね。「どこでドラマとか見るの?」と聞くと、学生は必ず「ネットで」って答えます。ファンが放映直後に速攻で字幕つけてドラマやアニメを流すそうで、ほぼリアルタイムで見られるとか。お笑いしか見なかった私ですが、学生の影響でちょっと勉強せにゃ...と思い、日本のものを見るようになりました。そしてハマったのが、関ジャニ8です...(汗)。わりと前から知っていて「ジャニ勉」「なるトモ!」で彼らを見てたんですけど、学生の中にエイター(関ジャニ8のファンのこと)がいて、びっくり。やっぱアイドルも関西やね!